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2024.10.15
営業活動の分業化、そのメリットと注意するべき点をすっきり解説。
『ザ・モデル』(福田康隆著 翔泳社)という書籍をご存じでしょうか?2019年に発表されて10万部を突破したビジネス書のベストセラーですが、本書では一連の営業プロセスを別々の人材が担う営業スタイルが紹介されており、現在の営業の分業化の潮流はここから始まったと言われています。
営業の分業化はもちろん部署全体の営業の成果を大きくする手段として考案されたものですが、分業化は決して万能ではありません。うまく機能しなければ逆に1人の営業マンが担当顧客のすべてを扱うよりも顧客満足度を下げてしまう可能性もあります。
ここでは、営業の分業化の導入を検討中の方の参考になるよう、そのメリットと注意するべき点についてご説明します。
■営業の分業化のメリット■
1.個人任せにしないことで確実に作業が遂行できる
1人の営業マンが新規開拓、既存顧客対応など一連の営業活動をすべて任されている会社では、能力の高い営業マンなら時間を確保して新たな営業先にテレアポなどしますが、平凡な営業マンは「日常業務が多忙」という理由で何もできないことがよくあります。そこで、新規開拓のためのリスト作成やテレアポ、契約までの商談管理、契約後の窓口対応等に別々の専任担当者を置き、適切な目標を設定することで、確実に業務の遂行を管理できます。
2.個別の作業の専門家を育てることで作業のクオリティが上がる
誰しも一つの仕事に集中すれば能力が向上します。営業部署の中にテレアポ専任、商談専任、顧客窓口専任等の担当者をおくことで、それら業務に深い見識とスキルを持つ専門家を育てることができ、作業のクオリティを向上させることができます。
3.属人化を回避、チームとしての対応が可能になる
顧客の営業担当者が会社を休んだ場合など、他に事情が分かる社員がおらず、その間に問題が発生しても対応できない場合があります。担当者が顧客ごとにつくのでなくプロセスごとにつく分業組織であれば情報共有がしやすく欠員が出てもカバーでき、「事情を分かる人間が1人しかいない」状態を回避できます。
■営業の分業化において注意するべきこと■
1.連携がうまくいかなければ逆効果
営業の分業化は「営業する側」の都合であって、顧客がそれを求めているわけではありません。多くの顧客は、有能な営業マンが長期にわたって自社の対応をしてくれることを望んでいます。つまり、分業化を図るならば、1人の営業マンが担当するよりも顧客に大きな満足を与えられなければ意味がないということです。
「電話でアポイントを取った際に聞いた情報が商談に出てきた営業マンに伝わっていない」「過去にあったトラブルが現在の窓口担当者に共有されていない」、こういったことがあると顧客は解約を考え始めるでしょう。このようなデメリットを克服するために、営業支援ツールを導入する会社もあります。
2.視野が狭くなり担当者同士が対立する
営業プロセスごとに個人の担当業務が細かく分かれると、社内で対立が起こりやすくなります。成約数が目標に達しない場合、商談にあたる営業マンは自らの交渉スキルが低いのを棚に上げて、テレアポ担当者に「質の悪い見込み客を回すから契約に至らない」といった不満をぶつけることがあります。分業化によって仕事の範囲が狭くなり、営業マンが自分の都合しか考えなくなってしまうというものです。
3.全体の設計を誤ると機能不全に
インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス。営業の分業化の標準的なモデルとしてそれらのパーツを別々の人材が担当するという考えがありますが、会社によって業務の流れは様々であり、「こうすれば間違いない」という絶対的な正解はありません。
営業コンサル会社の指導を仰ぐにせよ、言われた通りに組織を改編したもののうまく機能しない可能性はあります。あくまで顧客視点で、どのように業務を分担すれば顧客満足度を下げずに効率が上がるかを徹底的に分析し、その上で適材適所の人材配置を行う必要があるでしょう。「分業しない」もまた1つの選択です。
以上、営業を分業化するにあたってのメリットと注意するべき点を解説しました。弊社は多くの営業組織を見てきましたが、分業に適した業種、適さない業種があります。正解はありませんが、間違いなく言えることは、「流行だから」「他社がやっているから」で安易に分業化を導入するのは危険だということではないでしょうか。
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